「ウルトラマン、三日会わずんば刮目してこれを見よ」
今、ちょっとした話題の映画「シンウルトラマン」を見てきました。私のような年代の人間にとっては、ウルトラマンは原体験に組み込まれています。それこそウルトラマンと共に育ってきたと言ってもいいのかもしれません。
そんなわけで、ウルトラマンがあたらしく「シンウルトラマン」となって映画化されたと聞いては、ノスタルジーも手伝っていてもたってもいられなくなり、先日、映画館に足を運び見てきました。映画会社の思うつぼです。
それでも映画館に入り、ワクワクしながら「シンウルトラマン」の上映を待っていました。やがて上映が始まります。私のワクワクは頂点に・・・・。ところが、映画が進んでいくにつれて、私のワクワクはモヤモヤに変わっていきました。そして「違う!これは私の知っているウルトラマンではない」という思いが心に広がっていくのです。
考えてみれば、映画のタイトルが「シンウルトラマン」なのですがら、私の思い描くウルトラマンと違っていても当たり前なのですが、しかし、ウルトラマンはウルトラマンです。スクリーンに映っているウルトラマンの姿は、ちょっと細身になった感じもしますが、まぎれもないウルトラマンの姿です。スペシューム光線だって発します。
けれども、物語が持つ雰囲気も、物語の展開の仕方も、私が子どものころに夢中になってみていたウルトラマンとは違うのです。見た目は同じなのですが、その中身はすっかり変わってしまっている。それが、見ている私に、モヤモヤとした気持ちを与え、結局がっかりした気持ちを引きずって映画館から帰ってくることになったのです。
この私のモヤモヤ観とガッカリした気持ちは、見た目と本質とが食い違っていることに由来しています。言葉を換えれば、本来ある姿と、目の前にある姿の間に違いが生じてしまっていると言うことです。
私たちは、しばしば現実の自分と自分が理想とする自分の姿の間に違いがあり、その差の大きさにガッカリすることがあります。また、時には周囲が私に期待する姿と、その期待に応えられていない自分の姿に苦しむことだってあるでしょう。そんなときに、私たちはありのまま間の自分を受け入れることがなかなかできなくなってくるのです。
そして、自分自身が自分自身の、今のありのままを受け入れらなくなってしまってくるといったことが起こってきます。
しかし、神は私たちの今を、ありのまま受け入れてくださいます。ありのままのあなたでいいといって、神は、私たちを受け止めてくださうのです。もちろん、だからと言って神は、私たちに期待をしていないということではありません。神は、私たちに期待をしてくださっています。私たちが人間として成長し、私たちが豊かな人間性をもった愛に溢れたものとなっていくことを期待してみています。
確かに神は、そのように私たちに期待をもちつつも、しかし、今の私を、ありのまま受け止めてくれているのです。今の、あなたは、その今のあなたのありのままでよい。明日は、明日のありのままのあなたでというのです。
今日の私は、明日の私とは同じではありません。私たちは気が付きませんが、たとえば見た目でも、今日の私よりも、明日の私のほうが神は少し伸び、爪だって少し伸びている。私はもう初老の域ですから、背は縮むことはあっても、伸びることはありません。しかし若い人なら、毎日毎日背も伸びているでしょう。 私たちは、必ず、一日、一日、成長しています。変化があるのです。
それは、私たちの心や精神といったものも同じです。私たちの心や精神も、昨日の私と今日の私は違っている。そして私たちの心も精神も確かに、日々わずかづつであっても成長していくのです。
神は、そのわずかな成長を、「今日のあなたは、今日のあなたのありのままでいい」といって受け止め、忍耐強く見守り、支えてくださっているのです。なぜなら、私たち人間が人間であるその本質は、私たちが神によって神に似た者になるように作られた者だからですだから、心配することはないのです。
聖書の中のコリントの信徒への手紙1の3章6節に「わたしは植え、アポロは水を注いだ。しかし、成長させてくださったのは神です」という言葉があります。神は私たちに愛を注いでくださり、成長するのを忍耐強くじっと見守ってくださっているのです。
そして、私たちの心がその神の注がれる愛を受け止めるならば、私たちも必ず変わります。ウルトラマンだってシンウルトラマンに変わったのです。私たちが、私たちを愛する神の愛の中を生きるならば、私たちは必ず愛に満ちた神の姿に似た者へと成長していきます。なぜならば、私たちの本質には、神に乗せられた神のかたちが刻まれているからです。
そう思うと、「シンウルトラマン」を見た後のモヤモヤ観も、少し薄れた感じがします。「ウルトラマン、三日会わずんば刮目してこれを見よ」ということなのかもしれません。
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